周八枚、返品となるまでの顛末

この1ヶ月ほど、大変気に入って使っていた周八枚ですが、残念ながら返品となりました。
これから周八枚を購入しようと思っている、特にLeica M11などの高画素機で使う予定の方の参考になれば幸いです。

事の発端は、この写真を現像しているときでした。

周八枚、返品となるまでの顛末
Leica M11 + LIGHT LENS LAB M 35mm f/2(周八枚)


パッと見は特に問題ないように見えると思いますが、ヨットハーバー部分をピクセル等倍(2048×1365)で抜き出したものがこちらです。

周八枚、返品となるまでの顛末
Leica M11 + LIGHT LENS LAB M 35mm f/2(周八枚)


いかがでしょう、ボケボケに見えないでしょうか?
無限遠ロックを掛けた状態で撮影していますので、ピントが合わないはずがありません。
それなのに、なぜか手前の家にピントが合っています。

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もう1枚、こちらも同じような状態です。
遠くの被写体に対して、F5.6に絞って撮影しているにも関わらず、シャープさがありません。

周八枚、返品となるまでの顛末
Leica M11 + LIGHT LENS LAB M 35mm f/2(周八枚)
周八枚、返品となるまでの顛末
Leica M11 + LIGHT LENS LAB M 35mm f/2(周八枚)


ただ、F2で撮る分には、ピントは合っているのです。
無限遠でも、70cmでも、ピントは合っているように見えます。

周八枚、返品となるまでの顛末
Leica M11 + LIGHT LENS LAB M 35mm f/2(周八枚)
周八枚、返品となるまでの顛末
Leica M11 + LIGHT LENS LAB M 35mm f/2(周八枚)


前回のエントリーでも書きましたが、これは何かおかしい!と思い、あれこれ検証した結果、以下のことが分かりました。

  1. F2でもF5.6でも、無限遠ロックが掛かった状態では、遠くの被写体に対して二重像はピッタリ合致している。
  2. F2では、無限遠ロックが掛かった状態でも、遠くの被写体にピントが合っているように見える。これは、Visoflex2のフォーカスピーキングを見ても、実写を確認しても同じ。
  3. 従って、F2では異常は感じられない。
  4. F5.6に絞ると、無限遠ロックが掛かった状態では遠くの被写体に対してのピントが甘くなる。このことは、Visoflex2でのフォーカスピーキングの色が薄いことで確認できる。
  5. その状態でピントリングを近距離側に少しずつ移動させると、フォーカスピーキングの色が濃くなっていき、ピントが徐々に合っていくことがわかる。
  6. Visoflex2だけの話ではなく、実写でも、無限遠ロックが掛かった状態では、遠く被写体にピントが合っていない。
  7. 無限遠だけの話ではなく、この状態だとF5.6ではどの距離でもレンジファインダーでのピント合わせができないということになる。


特に4と5については「確かにそうなっている」というのを、販売店様にも一緒に確認していただきましたので、間違いないかと思います。
この結果を踏まえ、販売店様に相談して、修理業者様とやり取りしていただきましたが、修理業者様からの回答を要約すると
オールドレンズなので、こういうものだ
ということでした。

ご存知の通り、周八枚は八枚玉を模して作られていて、レンズ構成もほぼ同じです。
なので「無限ロックを掛けた状態で無限遠の被写体にピントが合わないのは、八枚玉も同じだ」というのです。
ホンマかいな?

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修理業者様曰く「ピント精度に問題はない」という見解で、実写した画像も見せていただきましたが、ピントの話をしているのに、マウントアダプターを介したSONY機で検証されても…。
あえて言いませんでしたが、せめてMマウントのカメラで検証して欲しかったというのが正直なところです。
後述しますが、M11かM11-Pで検証しないと分からないと思うので、これ以上の追求はやめました。

ここまでの検証で、私なりに考えた結果、周八枚は以下のようなレンズなのだろうと推測しています。
もちろん、全ての個体がこうだと言っている訳ではありませんので、ご注意ください。

  • F2でのピント精度には問題ない、F2でピント調整してある
  • 絞っていくとフォーカスシフトし、無限遠が出なくなる(オーバーインフ状態)
  • 無限遠は出ていないが、2400万画素程度ではピントが外れていることに気づけないと思われる
  • 絞って撮影する場合、実際のピント位置に対して二重像がズレるので、レンジファインダーでのピント合わせは出来ない


こういうレンズなんだと思います。
ピクセル等倍で見なければ分からないかもしれませんし、クセを分かった上で使えば良いことは理解しますが、ちょっと許容できる範囲を超えてしまっています。
ピントが合わない前提で使うのも、精神衛生上、好ましくありません。


ただ、今回は販売店様の完全なるご厚意で「返品しても良い」と言っていただきました。
6000万画素を甘く見ていました、私たちも良い勉強になりました」とも言っていただけたのが幸いでした。
M11のレンジファインダーで使うことを想定して買ったので、レンジファインダーでピント合わせが出来ないレンズは、ちょっと厳しいです。
1ヶ月ほど使用したので、大変心苦しかったのですが、今回はお言葉に甘えて、返品とさせていただきました。


今回の一件で、忘れかけていた大事なことを教えてもらった気がします。

  • 中古のカメラやレンズは、保証期間がある信頼できる店舗で購入する
  • 中華レンズは買わない
  • オールドレンズは、私には合わないので、手を出さない
  • 転んでも泣かない


コンパクトな35mmレンズの終着点だと思っていたのですが、これで振り出しに戻ってしまいました。
やっぱり、アポズミ35mmでしょうか?(なんでそういう結論になるw)

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